ブリットポップの覇者となり、そして最大の敗者ともなったブラー。
特に、そのフロントマンのデーモン・アルバーンは全ての負債を押し付けられた。
アルバム「blur」という原点回帰の作品を出すことで彼らのクリエイティビティは
開放されたが、敗北、失恋、メンバー同士のすれ違いを経験し、心の面で完全に癒えることは
無かっただろう。そんなギクシャクした状態でこのアルバムは作られたのだろう。
アルバムを終始覆うのは「絶望」である。TenderもNo Distanse~もとんでもなく
暗い。そして悲しい。他の曲も、まさにメンバー同士の喧嘩である。虫の羽音のように
せまるグレアムのノイズ、まるで逆らうかのようなアレックスのグルーヴ、死ぬ前の
声とはこんなものなんだろうかという程のデーモンの声。そして、このアルバムにして
初めて本性を現したデイブさんのドラム。全てがトゲトゲしく、激しく主張する。
しかし常に「ポップ」であり続ける彼らの精神が、「13」でも生き残っている。
そしてそれは、漆黒に囲まれた白はやたらと際立って見えるように、とてつもなく
美しく感じられる。このアルバムを聴くとそんな場面に幾度ともなく出会う。
もしこの作品に興味があるなら、自分自身も暗い気分にいる時に聴くことをお薦めします。
そうすれば、最後の「No Distandse~」を聴いたとき間違いなく今までに無かった
感触を得ることと思います。自分もこのアルバムに幾度となく救われた気がします。
音楽の力というものを初めて認識した作品。一生涯聴き続ける心の傑作です。