元気少女と魔女が出て来る魔法物語を書かせたら天下一品のアメリカの大人気女流児童書作家チュウさんの「魔女の本棚」シリーズの四冊目です。今回も魅力的な舞台設定と作者の考え出した新たな魔法アイテムの数々が冴え渡り、子ども達に楽しい夢を与えてくれています。
ロビンとアンディの元気姉弟が新しく出来たアンティークショップ「ゼルダの店」のショーウインドウでやんちゃそうな白い毛の小ネコを見つけます。店主の深い緑色の目を持つ黒ずくめのおばあさんゼルダは、実は頼りない魔女見習いの「13番目の魔女」なのでした。
いつもながら作者の発想の豊かさには本当に心から感心させられます。魔法の銀みがきクリームを、鳥の形の銀で出来た塩入れとコショウ入れにつけてこすると黒ずんでいたのが輝くだけでなく本物の鳥に変わって、ソルトとペッパーと命名されるのですから実にお見事です。この物語でもうひとつの仰天する魔法は、姉弟が鳥の羽を拾って耳の後ろにつけると体が縮んで小さくなり、空を飛ぶちり取りに乗って空中散歩するという突拍子もない物です。作者は身近な日常にある小道具を上手に使って毎回夢のある新鮮な楽しさを演出してくれますね。如何にも作者らしいなと思えるのは、ほうきに乗って空を飛ぶのは当たり前過ぎて面白くないので、それならば相棒のちり取りに体を小さくして乗せたらと考える強引で無茶苦茶ながら常識に捕われない理屈を遥かに超えた面白さです。今回また新たな面白さが感じられるのは、根は善良な半人前の見習い魔女のおばあさんを登場させて、12匹の黒ネコに姿を変えた悪い魔女に騙されて利用されそうになる悪巧みを、勇敢な元気姉弟が阻止して大活躍する人間が恐ろしい魔女のお株を奪う痛快なストーリーになっている事です。また悪い魔女たちからいみじくも「こわし屋」と呼ばれる白ネコのパールは、そこら中を暴れ回ってちらかし破壊するお行儀の悪いいたずらっ子なのですが、最後はピンチでお手柄の活躍を見せてくれますし、何よりとってもチャーミングなので全く憎めませんよね。