ガロアの群論について、著者が中一の娘さんに語って聞かせるという体裁で解説した快著。群や体について、天下り的な定義から出発するのではなく、二次方程式の一般解を求める所から初めて、ガロアが目指した五次以上の代数方程式の一般解を求めるという最終目標に漸次的に進んで行く構成が斬新かつ非常に分かり易い。ガロアは勿論だが、ラグランジュやアーベル等の半生が語られる辺りは物語としても楽しめる。
三次方程式の一般解を求める箇所では、思わず筆記用具を取り出して自分でも計算しまった程、内容が平明かつ魅力的。そして、その際に補助方程式や置換の話を導入するのだが、これを順次的に、係数が構成する(拡大する)体、それを解くための有限の置換群という風に議論を収束して行き、最終的に代数方程式が冪根で解ける条件を剰余群列の位数の素数性に帰着する様が美しい。もっともガロアの理論が元々美しい訳だが、こうしてボトムアップ的に解説を展開して、「代数方程式の一般解を求める」という本質に迫った書は珍しいのではないか。ガロアの言う「固有分解」の意味がようやく理解出来た様な気がした。置換と関連して、"あみだくじ"やルービックキューブの詳細な説明を付ける等、題名に恥じない工夫も随所に見られる(ただし、流石に中一では難解だろう)。「ガロアの夢」に触れたい方には格好の解説書と言える。