「どうせ劇場では観ないんでしょ」と、映画に小銭しか出さないこちらの足下を見ているかのような作り方。そもそもオリジナルのシリーズ自体に高い志がないのだからリメイクにもあまり期待はしていなかったが、根本から異なるものに仕上がっているのにはがっかりさせられた。この映画はホッケーマスクが鉈を振り回してるんだから『13金』だよと主張したいらしいが、それはあまりにずうずうしく、間違っている。作り手たちは過去のシリーズから一番大切なものを持ってくるのを忘れたのか、面倒だから置いてきたのかわからないが、とにかくもったいないことをしてくれた。
二から四作目までの『13金』には共通する魅力があった。殺人鬼が都市伝説に出てくるゴーストと同じく曖昧すぎる存在であり、たとえマスクが剥がれて素顔がのぞいたとしても、その正体は結局得体が知れないというところに観客は想像力を刺激されて夢中になった。意味のあることをしようとしないからこそ不気味なのであり、そのわけのわからなさに面白みを感じるのだ。だがリメイク版では、この重要と思える部分をわざわざ反対の方向に持っていく。しかもジェイソンに人格が用意されたからといって新たな展開を試みているわけでもなく、映画は一度たりとも観客に対する誠意をみせぬまましぼんでいく。女子の何人かが豊かな胸をさらしているが、これしか見どころのない映画になってしまったのが本当に憐れだ。