タイトル通りショッキングな短編が13編缶詰のように詰め込まれています。作品そのものの構造はどちらかというと単純でストーリーは一直線に進みます。ただし、その「直線」が乗っている平面が私たちの「世界」と重なってはいるけれども少しずれているのです。だから作品の終盤で到達した地点は私たちの「現実」とはずれてねじれて、でも全く別世界のものとも言い難いもので、複雑なショックをこちらの心に与えてくれます。
♀ネ単にネタバレになっちゃうのでなかなか作品紹介がしづらいのですが……
『レミング』……わずか3頁の掌編で、最初の数行を読んだら結末は読めますが、それでも読み終えて「やられた」と呟いてしまいました。
『顔』……児童虐待のニュースは珍しくなくなりましたが、それの「予言」と言っても通る作品です。本作中での手口は「まさか、そんな」と言いたくなるものですが、でも「『それ』をおこなう人の心性」はおそらく人類共通のものでしょう。それを思うと暗澹たる気持ちになります。
『天衣無縫』……ある日突然ウォーキングディクショナリーならぬ、ウォーキングライブラリーになってしまった男の物語です。大学の教室にはいるとその教室で行われる授業が(過去にまで遡って)全部頭に入ってしまうのです。いろんな教室に入る度に知識はどんどん増え続け、とうとうある日大学の図書館に入ってしまうと人類の知識の奔流が……いや、力ずくのオチですが、もう笑っちゃうしかありません。人間って、ショックを受けても笑うんですね。