若い人には(この作品の主題歌をタランティーノが自作に流用したため)音楽の方が有名かもしれませんが、本編も音楽に負けず劣らずの名編です。
昔はテレビでよく再放送されていた作品でもあるのですが、今回ようやくうれしいDVD登場です。
お話は、正義派黒人刑事と、賄賂受け取り・人種差別を厭わない現実派白人刑事が対立しながら現金強奪事件を追うというものですが、金を奪った黒人ギャング側や、金を奪われた白人マフィア側にもスポットを当て、NY裏社会がクールにドライに描写されます。こう書くと、なんか社会派タッチ作品に思われますが、パンチの効いたアクション描写もあり、ほろ苦いラストまで一気に見せます。
爽快感とは無縁の渋い作品ですが、70年代のアメリカは、こういった通好みの充実した作品も作られていてよかったなぁ、とつくづく思います。
ちなみに監督のバリー・シアーは、もっぱらテレビ畑で活動していた人で、劇場用映画はこのほかに「死の追跡」という西部劇があるくらい。これがまたクールな復讐劇で、彼は実は見事な職人監督ではなかったかと思われます。
あまり映画界で活躍できなかいまま生涯を終えたのは、彼の現実を見据えた冷徹すぎる視線が、やはりハリウッド向きではなかったのでしょう。