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13 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
心が頑健なときにのみ手にすることをお勧めする幻想小説集,
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レビュー対象商品: 11 eleven (単行本)
あやかしの物語を11編あつめた一冊。作者・津原泰水に関する知識は一切ないまま、この本が大変評判になっているので手にしてみました。作者の筆が紡ぎだす言葉の数々は、優美で妖艶、流麗で奇怪。 第1編の「五色の船」は見世物興行をなりわいとする異形(いぎょう)の者たちが、人の顔をした牛「くだん(件=人+牛)」を買い求めるために岩国に向かう物語です。 登場人物たちの妖しい姿の所以(ゆえん)を細密に描写する文章にすっかり気圧されてしまいました。これは容易ならざる内容を含んでいると大いにたじろいだのです。 しかし第2編の「延長コード」で、気力を少し取り戻します。 17歳で出奔した娘が亡くなったと連絡を受け、父親は娘が厄介になっていたある家族のもとを訪れます。そこで娘の遺品として出て来たのは山のような数の延長コード。そのコードを使って父親がたどりついた娘の末路とは…。 第1編同様、これも確かに怪しい物語には違いありません。ですが、逐電以来つかみとれずにいた娘の姿を、父親が幻想の中とはいえようやく垣間見ることができたような気がして、ほんのり心が落ち着くのです。 とはいえ第3編「迫って来る少年」と第4編「微笑面・改」はまたしても底冷えする恐怖の物語です。さらにその先へと頁を繰って前進することを臆してしまいそうになります。 そこへもってきて、11編の中でもっとも私の心に寄り添う物語として第5編「琥珀みがき」が現れます。わずか6頁にも満たない掌編小説ですが、主人公ノリコが自らの来歴を琥珀の中に閉じ込めて来たという描写の美しさに、陶然と酔いしれたのです。 こんな具合に11編はいずれもが他編とは趣を異にしていて、次に現れる物語がどのように自分を震わせるのか、それは心地よい共振なのか、はたまた激しい震撼なのか、先が見通せないままの読書を続けることになります。 体力のない時に手にすると受け止めきれない物語が多く、壮健な読者にのみ許された一冊であるということを注意喚起しておきたいと思います。
35 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
『11』は必ず予感に応えてくれる。 ,
By カヴァイエス (兵庫県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 11 eleven (単行本)
津原泰水の最新短編集『11』を読んだ。茫然としている。今まで腐るほど小説を読んできたが、これほどまでに水準の高い短編集にはひさしく出遭っていなかったからである。「珠玉の」などという紋切り型の賛辞を突き抜けている。圧倒的な完成度だ。そして、めちゃくちゃに面白い。あなたが小説好きなら、『11』を読んで絶対に損はしない。ものすごく得をする。そう自信をもって推薦できる。ミュージシャンズ・ミュージシャンという言葉がある。プロの音楽家にファンが多いプロの音楽家のことだ。津原泰水は、間違いなく「今の日本の文学界における、ミュージシャンズ・ミュージシャン」である。プロの小説家にファンが多いプロの小説家だ。総ひのき造りのような香り高く美しい文体で、奔放にして卓抜なアイデアを、精妙をきわめた構成によって語っていくのである。津原泰水ならではの「三位一体」である。憧れない作家がいるだろうか。 11編の収録作品について簡単に触れておきたい。「五色の舟」は見世物を生業としている一家と、真実のみを語る怪物くだんの話。「延長コード」では家出少女の奇妙な収集品が彼岸と此岸を結びつける。「追ってくる少年」は無惨な事故の後日譚。「微笑面・改」は彫刻家とモデルの間の愛憎劇。「琥珀みがき」は少女が大人の女になるストーリー。「手」は"好奇心が猫を殺す"話。「クラーケン」は犬好きも犬嫌いも息を呑む作品。「YYとその身幹」は完璧な美女についての考察。「テルミン嬢」はナノマシン医療と音楽が結合した可憐にして雄大なSF。「土の枕」は民話のように凝縮された戦争の物語。 そして「キリノ」は、作家の桐野夏生の特集に寄せられた痛快無比な「小説」である。 最後に。Amazonのこのページに掲載されている書影の印象的な人形は、四谷シモンの作品である。瀟洒な装丁は、著者の津原泰水自身によるもの。この美意識に「何か」を感じたなら、本書『11』は必ずその予感に応えてくれる。 11 eleven
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
まず出会えない読書体験(11の全く異なる文章たちです),
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レビュー対象商品: 11 eleven (単行本)
イレブンってサッカーものなのか?とか、それにしてはこの表紙は何?とかって気になっていたうちに、 ちょっと忘れていて、年末恒例のミステリーランキングで 比較的上位に入っていたので、「おっと忘れてた」と買いました。 この人の本は初めて読むし、短編集というのは実は それほど好きな方じゃないのだけれど、 11ってそういうことなんですね。 意外に間違ってないかもと思ったのは、 あたかもサッカーの一流チームのように、 それぞれが全く異なる個性の文章で(1人の人が書いたの? と思うくらい語彙も文体も句読点も改行も違う)、 それぞれに違う風味のストーリーが11本 並んでるわけです。 それぞれの感想まではちょっと及びませんが、 幻想的だったり、SF的だったり、怪奇もの風だったり、 現代的だったり、掌編風だったりととにかく飽きませんでした。 だからといって次にこの人のを読むかと言われたら、 やっぱり評判がよければ、っていうくらいになってしまうのですが、 いつもと違う読書がしたい人はかなりの確率でこれまでに 味わったことのない文章に出会えます。なにしろ 11種類ですから。
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