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ブローウェルの作品集と言っても、これまで聞いたことのないような曲名が並ぶこのアルバムだが、収録されている曲はいい意味で80年代以降のブローウェルらしい、美しさと怪しさの絶妙なバランスを持った曲がほとんどである。多少毛色が違うのがル・コックの『イ短調組曲』。元はバロック時代のブローウェルが編曲したものだが、これがまた素晴らしい。全体を通じて感じられる寂しさとも悲しさともつかない空気の中で、時に高揚しまた冷めていくような感情の動きがよく表れている名曲である。ここでも大萩氏のギターは鋭敏な感性でその曲の表情をよく描き出している。よくあのような難曲を余裕を持って情緒深く弾ききれるものだ。この組曲の中で『ブーレ』はTV出演などの際よく弾かれるが、個人的に一番好きなのは『パッサカリア』。是非聴いていただきたい名曲である。
他にも、私の知る限りではこのアルバムでしか聴けない『キューバの子守歌』の二重奏版や、爽やかな切なさが胸に響くタイトルトラック『11月のある日』など、聴きどころ満載の名盤である。高度な技術を持ちつつも決してその技術に頼ることなく、あくまでも音楽を聴かせてくれる彼の演奏は、聴くものの心を音の世界に引き込んでいけるだけの説得力がある。
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