一口にアルゴリズム的思考と言っても多岐にわたるし、アルゴリズムによるデータを扱うことになると他分野との融合が起こり易く余計に多様化してくる。その中でかなり建築業会の中の建築意匠よりの部分とコンピュータ業界の建築よりの部分を抽出して来たという印象。
建築においては構造デザインの分野でいち早く花を開いたアルゴリズムデザインであるが、既に構造分野自身がその限界を認め、他分野を含めた包含的なビジョンを掲げようとしている現状がなんとなく伊東豊雄さんやセシル・バルモンドの対談のあたりで雰囲気として感じ取れるような気がする。
と同時に、その包含的な思考を都市において実践して来たMVRDVも本書では取り上げられており、またそれに対しての批評も添えられているのがおもしろい。合意形成ツールとしての能力とそこにある強さと弱さがなんなのか?を垣間見せてくれる。データベースを軸として思考方法がどのようなものなのか考える糧を与えてくれる。
いろいろと試行錯誤している建築業界であるが、それを外部の視点から見るとどうか自分の仕事をメインにしつつ、同じarchitectureという言葉が使われるコンピュータ業界からの二人が語ってくれる。有名なパターンランゲージとWikiの関係やarchitectとcomputer architectの違いなど建築とコンピュータとの関係を再考するには良い話題を提供してくれる。現在のような図面をベースにした方法ではなく、もしも、建築の設計がコンピュータ言語を基本としたやり取りに近づいたらパターンランゲージの持つ意味は変わってくるのか?ちょっと真剣に考えたくさせる。
値段に対して内容が濃い、やはり10+1と思わせる一冊である。