10章の構成で、1日1章、つまり10日間で学習するOracle11gの入門書。ところが実際は、著者の所属するシステムインテグレータのツール売り込みと思える内容となっている。7日と8日の学習項目がOracleのツールとは違う自社のツールで、100ページを軽く超えてページを割いている(237ページから353ページまで)。「純粋なOracleのツール」の学習をしたいために本書を購入しても、全く見当違いのソフトウェアをインストールしなければならない。
本書を購入すべきかどうかは、239ページとそれに続く数ページだけでも読んで納得した上で購入してほしい。239ページでは次のように説明している。
“システムインテグレータ社のWebページ(http://中略)にアクセスし、「SI Object Browser 30日間トライアル版」を[トライアル版ダウンロード]をクリックしてダウンロードします。”
以後はインストール方法が続き、「Oracleを学習する入門者」には無用なSI Object Browserでの学習が2日間も続く。SI Object Browserに関しては、「SI Object BrowserではじめるDBシステム構築入門」という書籍がある。本書も「SI Object BrowserではじめるOracle11g入門」といったタイトルにするのが読者に対する親切心ではないだろうか?販売促進用のトライアル版を入門者にダウンロードまでさせて、Oracleとは違うツールで学習させるのはいかがなものか?良識を疑ってしまう。
さて、本書の内容であるが、Oracleというよりも初歩的なSQL言語習得がテーマと思える。Oracleの運用管理を説明しているのは3日目と4日の一部。4日の途中から9日までは、SQL言語の初歩的な説明が続く。ところで最終日の10日は、必須のバックアップが学習項目となっている。Oracleのような巨大なソフトウェアの運用管理を1日強といった配分で構成して学習させるのがそもそも無理な話であろう。本書で習得できるのは、あくまでも基本的なSQL言語であると考えてほしい。
環境としてはWindows XPで書かれているが、2008年9月の出版時期からすれば、常識的に考えてVistaを取り上げるべきであろう。
第0日で、「スタンドアロン構成」、「クライアント/サーバー構成」、「Web構成」が挙げられているが、全く意味が無いと思える。本書がどの構成のものか、明記されていないためだ。本書全体を通してみれば、ネットワークとは無縁の「スタンドアロン構成」としか受け取れない。
164ページでは、次のような説明がある。本書の中盤近くになってびっくりするような基礎の説明が出てくる。このことからもSQLを習得するための超初級者向けの本と受け取ってほしい。
“SQLの「Q」は「Query」です。”
232ページでは、次のような説明もある。Oracleのような高級なソフトウェアを学習する者に対して6日(後半)になって挙げるような言葉ではないはず。
“「セレクト、フロム、フェアー、オーダーバイ」とおぼえておきましょう。”
この本ではOracleは手段であって目的ではない。SI Object Browserの項目は良識として外し、「Oracle11gで学ぶSQLの初歩」といったタイトルの本にした方がいい。