フェデリコ(ユウセビオ・ポンセラ)はカジノの支配人。連勝の客の身体に触れることによって、強運を奪う能力を身に付けていた。子どもの頃に大地震に遭った時、カジノの経営者である養父サミュエル(マックス・フォン・シドー)によって助けられ、同時に能力を授けられたのであった。ある日、フェデリコはサミュエルのもとを去ろうとしたが、逆に能力を奪われ放り出されてまった。
それから7年後、フェデリコは生命保険会社のエージェントと内通し、災害の生存者である強運の持ち主を探していた。白羽の矢が立ったのはトマス・サンス(レオナルド・スバラグリア)、飛行機の墜落事故で237人の乗員のなか唯一の生存者だった。フェデリコはトマスをサミュエルとの強運の勝負に挑ませ、復讐を遂げようとするのだが・・・・・・。
運という人知・人力を越えた実体としてとらえられないものを素材にしたサスペンス。奇跡的な体験を、強運の証し・バロメーターとして具体化させた手法は才気煥発だ。さらに、賭けモノの最終形が人間であるのも想像力の質の高さを感じさせられる。ラストの強運の勝敗を決める賭けゲームは手に汗を握る。ナチスによる強制収容所からの唯一の生存者、大地震の生存者、飛行機墜落事故の生存者、自動車事故の生存者、現役時代怪我をしたことのない元闘牛士、これら強運の持ち主たちの形而上の勝負は斬新であり、目を見張る出来栄えだ。幸運の女神の核心に迫った本作とは対照的ではあるが、不運の死神に抗う人智を描いた作品『ファイナル・デスティネーション』、その続編『デッドコースター』もお勧めしたい。