批評家や欧米のファンのあいだでの評価はいまひとつかもしれませんが、日本のファンにとっては、やっぱり特別な作品ですよね。「ロシアより愛をこめて」の息詰まるような緊迫感はありませんが、「私を愛したスパイ」や「ムーンレイカー」と同じルイス・ギルバート監督による作品なので、ロジャー・ムーア時代の007映画を愛する方には好まれるのではないでしょうか。ロアルド・ダールによる脚本も所々にユーモラスなやり取りをまじえています。セットも秀逸で、スペクターの秘密基地などほんものの軍事施設みたいです。かっこいい秘密兵器(ミサイル発射装置つきのジャイロ・コプターなど)も出てきますし、クライマックスの戦闘シーンも戦争映画みたいに大がかりで、日本の情報機関の忍者部隊も大活躍します。
キャストも素敵です。公安調査庁(?)のチーフを演じる丹波哲郎が堂々たる存在感で、主役のショーン・コネリーに一歩も引けを取りません。そのコネリーも、所々でひょうきんな表情なども見せていて、なかなか繊細なお芝居だと思います。女優陣も魅力的で、女スパイの若林映子は薄いブルーのドレスに身を包み、真っ白いトヨタ2000GTをぶっ飛ばします。一方、浜美枝は、人形のような花嫁姿で登場したと思ったら、次には白いビキニで飛んだりはねたり、スペクターとの戦闘にも参加します。敵側の美女カリン・ドールは赤い髪がたまらなくセクシー。それからロイス・マックスウェル(ミス・マネーペニー)の制服姿がちょっとだけ見られます。
オリエンタルな雰囲気を意識したジョン・バリーのサウンド・トラックも、なかなか聞かせますし、ナンシー・シナトラの歌うタイトル・ソングはシリーズ中もっとも美しいものの一つではないでしょうか。