数多い岩波文庫のなかで、挿絵が載っているものを集めた実に楽しい薀蓄本であり、ガイドブックである。
本書でも最初に紹介されている「ウイーン世紀末文学選」を読んでいるときに、ネット上でこの本にであったのも何かの因縁。
以前からさし絵の多い文庫本には岩波文庫に限らず興味があり、いろんな本を探し出しては読んできたが、改めて、こんな本にまで挿絵が入っていたなんて知ることとなり、目からうろこが落ちることしきりである。
挿絵といって軽視できない。実に著名な古今東西の画家が挿絵画家として登場する。絵を観ているだけでも飽きない。岩波文庫の目録を眺めながら本書を読んでゆくと、既に絶版になっているものや、品切れ中のものも少なくない。実に残念である。
著者はあちこちへと脱線するが、これがなかなかいい。中公文庫への脱線が多いような気がするが、他の文庫とかその他の単行本等へも行きつ戻りつしつつ、薀蓄話は続く。
挿絵の多い文庫本が好きな読書人はもちろん、一般的な読書人にとっても実に多くの情報を得ることのできる好読み物である。