『戦争論』は,岩波文庫(上中下の3巻)で1300頁もの大書で,学生時代に『戦争論』にチャレンジしましたが,読めずに悔しい思いをした。時代背景もろくろく勉強せずに,『孫子』と同類のヨーロッパ版と思ったのがそもそもの間違いでした。
これを本書は,原書の章立てに従って兵頭二十八氏がエッセンスを抽出し,さらにそれに対して兵頭二十八氏が解説を挿入して,新書版の310頁に圧縮している。
本書は,文体の癖が強く,誤字も多いので読みづらかったが,それを補って余りある。若いころにこのような新訳が欲しかった。クラウゼヴィッツは「ナポレオンみたいな相手がいるときに,我がプロイセンはどうすべきか」を書いたのですが,それを『戦争論』というきわめて一般的な書名にしたのでわかり難くなっていたのだと思います。
特に印象に残ったのは,軍隊の最適サイズを論理と数値で多角的に説明している点。また,兵站(ロジスティクス)についても技術的制限と数値でその根拠を説明している点だ。本書で,やっと『戦争論』がどういう書だったのかが,わかった気になった。