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本書は、単なるLaTeXの「使い方の説明」にとどまらず、「LaTeXを使った文書作成の『基本的な考え方』」をも学べるように書かれています。その方針は、第1章でTeX/LaTeXの生い立ちやTeXの組版規則の解説にページを割いていることや、第3章に「文書の構造」「美しい組版のために」などの節を設けていることからもうかがえます。
とりわけ、3.22節「美しい組版のために」では、和文文字・欧文文字(いわゆる全角・半角文字)の組版上の違い、空白の扱い、句読点・括弧類・引用符・疑問符・感嘆符の組版上の扱いなど、LaTeXの機能とは直接関係ないけれど、美しい組版を実現するためのさまざまなノウハウが解説されています。続く3.23節では、欧文に特有の組版上の注意点が記されています。この手の「組版規則に関する知識」をていねいに解説しているのは、類書には見られない本書の著しい特色です。
LaTeXの各種機能の使い方を説明する場面でも、単にコマンドの使い方を述べるだけでなく、LaTeXの設計思想や文書作成の基本的な考え方にまで立ち返った解説がなされています。手っ取り早く使い方を知りたい読者にとっては、これらの解説は冗長に感じられるかもしれません。しかし、このような本質的な考え方を理解することは、LaTeXを上手に使ってよい文書を作成するための、大きな助けになります。
本書を単なる「LaTeXの使い方を記したマニュアル」とみなすべきではありません。「LaTeXでの文書作成の『基本的な考え方と技術』を学ぶための本」という側面にこそ、本書の価値があると思います。「美文書作成入門」というタイトルには、「LaTeXを使って美しい文書を作成するための知識と技術をも伝える」という本書の思想が現れています。
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