アメリカンコミックスはヒーロー物ばかりだと辟易しておられる方々にこそ、一度お読みになって
いただきたい作品です。日本語版の帯には「もうひとつのW3」とありますが、手塚治虫氏の
傑作SF漫画とはテーマも読後感も全く異なります。むしろ動物文学の名作「信じられぬ旅」の
SFアクション版と言うべき作品です。
「信じられぬ旅」については、これまで「三匹荒野を行く」、「奇跡の旅」などのタイトルで映画化
されており、ストーリーをご存じの方も多いのではないでしょうか。
本作では、軍の施設を脱走した戦闘用サイボーグの犬、猫、兎の逃避行が冷徹なタッチで
描き出されています。三匹の言動はそれぞれの種の特徴を伺わせていて、飼育経験者には
感情移入しやすいストーリーだと思います。
自分は猫を飼っているため、気まぐれでドライな2号のキャラクター描写に「そうそう、猫って
こんなだよなあ」と頷く場面が度々ありました。
動物たちに深く感情移入してしまうため、読み進めるうち、彼らの辿る運命の過酷さに
耐えがたくなってしまうかもしれません。動物が酷い目にあったり、残酷な描写が苦手という
方にはお勧めしかねますが、読んだ方には感動が得られる動物コミックの良作だと言えるでしょう。
日本の漫画とは異なる絵柄や独特のコマ割りで描かれていますが、ストーリーは明解で全編
120ページにも満たない作品ということもあり、比較的読みやすいと思われます。