なんて贅沢な本だろう!と思いました。
だって、全編フルカラーで、全編がアニメの下絵。
口絵のイメージイラスト4と、巻頭の対談の写真と、最後の関連商品宣伝のほかは、すべて「鉛筆と色鉛筆」。
この原画がTV放映ではこうなります的な、完成絵を、ただの一枚も収録しない。
なんと潔い編集方針。
これを2800円も出して買うのは、アニメ関係者とアニメオタク、あとはハガレンの熱烈なファンくらいではないでしょうか?
そんな物好きな本が、本になって世に出た。それがしみじみと嬉しい。
私は、05年に出版された「シャンバラを征く者シナリオブック」の感慨を思い出しました。ご存知のとおりあの本にはプロトタイプのシナリオも収録されています。
シナリオの「下書き」なぞが、まさか本になって消費者の手まで届くなんて!
偉大なタイトルと、スタッフの情熱の、両方があって初めて実現した異例。
この本も、同じように思います。
人気作であるがゆえに重圧や縛りもあったでしょう。それに応えきったからこそ、おそらくアニメーターのひとつの夢が形になった。原画だけのカラー画集。
本作は鋼FAの監督、入江泰浩氏が監修していますが、入江氏は相変わらずとても穏やかで控えめです。数多くのアニメーターの鉛筆絵が並び、そのどこがいいのか淡々と解説しています。ちょっと教本みたいな感じ。
しかし読むうちに、入江氏が、アニメに何を求めているのか、何を誇りとしているのか、そういった思いがじわじわと伝わってきます。
絵は、何をどこまで表現できるのか。
5つもあるOPのうち、前アニメのスタッフが協力したOP2をピックアップするところ。収録原画の全担当者の氏名をリストで載せるところ。
鋼FAは「皆の力」がテーマでした。現場の空気も、監督の姿勢も、その様であったのだなあ、と思いました。
人によっては退屈な本だと思います。
でも人によってはこの上なく大切な本になると思います。