おそらく国内におけるNLP関連本の中で最も優れていると思われる「NLPの基本がわかる本」の続編。文字通り「実践手法」に関する一冊。
山崎氏のNLP本は過去に3冊出ているようだが、いずれも類書と決定的に異なる点が、「人間の本質」に迫っているところ。
巷にあふれるNLP本の多くは、単なるスキルの羅列や手引書のようなものが多く、実際、使えるようで使えないと、個人的に感じていた。
それに対して、本書や「基本がわかる本」は、そもそも「NLPとは何ぞや」を解き明かすものであると同時に、その前提として「人間とは何ぞや」を深く追求していたことに大きな感銘を受け、表面的な手引きにとどまらない「本質理解」をすることで、ようやくと「使えるレベル」にNLPを昇華できたと感じている。
本書のテーマを一言で言うと「喜怒哀楽とはイメージに過ぎない」と言うことであり、本書には直接的な明言はないが、その根底にある哲学はまさに「色即是空」の思想(人間の本質を初めて説き明かした原始仏教の思想)であろう。
つまり本来は無色透明(空・くう)であるはずの「価値観」に、恣意的なイメージ(色・しき)をつけており、そのことに一喜一憂するのが人間であるという大前提のこと。
このような人間(及び世界)に対する根本理解があって初めて、NLPの各種スキルが「使えるレベル」に体得できるのである。
例えば本書ではリフーレミングとサブモダリティ変換を中心的に取り扱ってるが、それらは言うまでもなく単なる言葉遊びでもなければ、塗り絵ごっこでもない。
「価値観」として恣意的に貼り付けられている「意味」と「印象」を、ある種の目的を持って変換してみることで、感覚(つまり無意識)そのものを書き換えること。それによって世界の見方そのものを根底から見直すことができるようになる。そのことを改めて実感できるのがリフレーミングでありサブモダリティ(五感の質)なのである。
とにかく「心理テクニックの道具箱」のように扱われがちなNLPに対する、大きな誤解を解くためにも本書は一読に値するし、何よりも「NLPの本質」から「人間の本質」にまでの深い理解が促される点で2011年必読の書であると言っても過言ではない。