無謀ともいえる相手(アメリカ)に立ち向かったのは、何も「だめもと!」でいったわけじゃない。前例があったからだ。あのロシアに勝ったではないか、その前には当時の大国・清にも勝っている。幼い頃の天皇ヒロヒトも弟・秩父宮と日露戦争ごっこで意気高揚させていたじゃないか。ってな気分で、「やれ行け、それゆけ!」って経済封鎖した憎いアメリカをたたく。その前には泥沼戦争になりつつある支那事変がある。宣戦布告してないおかしな「戦争」なので、はっきりいって戦争じゃなくて「事変」。
この分野では今や第一人者である加藤先生の文章がとても分かりやすい。
既にベスト・セラーになっている「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」があるが、本書はこの本を「さかのぼる」形で進んでいくので、なかなか楽しい。
二つの本の最後の方に登場し、加藤先生も注目している胡適なる中国人学者の論文、このエッセンスが紹介されているが、当時の日中戦争の将来を見透かしていたようで、今読んでも相当怖い。
それにしても終戦の前年の「サイパン失陥」の時点で戦争をやめておけばよかったのにと思うのは、本書を書いた本人だけでなく、この本を読んだ読者みんながそうだろう。