かの「はやぶさ」のドラマにも負けない、空恐ろしいほどの技術ドラマです。日本のものづくりの真髄を見せる凄みのある秀作と思います。
私自身が墨東の住人であり、日々自宅から高く伸びていくスカイツリーを見ていたのですが、エンジニアのはしくれとしては、あの巨大
構造物は日光の影響での反りや、溶接時の歪みだけでも驚嘆すべきものとは感じていました。ところが、それを良い意味で完膚無きまで
に「裏切って」くれる。鉄骨同士の接合部は、出来上がりの角度精度が100分の1度まで求められている(溶接を少しでも知っている人なら
あの巨大さで溶接接合部の熱歪みまで予め計算に入れてのこの精度は狂気の沙汰、と判るでしょう)。
そしてやはり圧巻なのは、第二展望台以上のゲイン塔のつり上げ作業です。100mを超えるゲイン塔を、ミリ単位でせり上げていく。そして
起こるはずのないゲイン塔の回転現象への即断対処、東日本大震災時が実は危機的ともいえるタイミングで起こったときの対処。
頂部のセンターを出すのに許された精度が実に半径20cm以内、それを吊上げワイヤを0.5mm単位でバランスさせて、最終的に2cmまで詰めて
いく過程など、エンジニアリングに興味が無いひとでも下手なサスペンス等吹っ飛ぶ程の凄みと迫力があり、是非一度、子供たちに見せて
あげたい秀作です。価格も安価で、この価格なら絶対に「買い」でしょう。
最後に、DVD内では触れられていないのですが、この巨大構造物を住宅地のド真ん中であっけないばかりに粛々と造り上げてしまった関係者
の方々には頭が下がります。なにせ、450m床からボルトひとつでも落したら、と思うとゾっとするのに、事故のニュースは全く無かったの
ですから。