反響の大きかったドキュメンタリーの書籍版。
森山優は半藤一利といった第一線で活躍する歴史研究家が名を連ねているだけあり、内容はこれまでの研究成果の総括といっていいものになっている。
即ち、日本の政治主体が実はその場しのぎの政策決定を続けた結果として、日米開戦という帰結に至ったというものである。
また、メディア論についても興味深い。特に、ラジオなどの影響が戦争報道に深く関わったとする点は、あまり語られてこなかった分今後の研究に期待するところでもある。
後半の半藤、松平という両雄の対談はまた違った色を出しており面白い。見どころも多い本である。
あとがきには本作のプロデューサーが書いているが、大多数の絶賛や再放送要望が寄せられた一方で、自虐的な内容であるという批判も寄せられたことを明かしている。
過去の無決定や失策を検証することが自虐的だというなら、そういう人々は何度でも同じ失敗を繰り返すだろう。そしてそのたびに開き直り、無為無策のまま破滅へと向かっていく。失敗は先人の遺産であり、それを継承しようとしないものに未来など来ないのではないだろうか。
はっきり言うが精神論だけの愛国心が国家を救ったことなど一度たりともない。
今回の作品に疑問をもった人はぜひ実証的かつ科学的にこれを批判して欲しい。それができないなら、批判する資格などないということを付記したい。