滅多に聞かないラジオを何気なくつけたら、なぜか心にしっくりなじむ女性の声が
聞こえてきた。ちょうど詩人エミリー・ディキンソンの話で、番組が進むにつれ、
思いに満ちた深い語り口に引き込まれていった。
小池昌代―初めて聞く名前。さっそくアマゾンで検索すると、詩人で作家だと知る。
本もたくさん出されているが、この講座テキストを本屋に買い求め、自分がラジオで
聞いた第8回をまず読んでみた。
文章は、ラジオでの話とは少し違っていた。筆者が勧める詩の音読と似て、その場で
心の思いをそのまま肉声で発するラジオのほうが、書き言葉では得られない説得力と
感動があった。
とはいえテキストも、詩人ならではの豊かな感性と鋭い知性に裏打ちされたとても
素晴らしく啓発に満ちた内容である。詩の成り立ちや多様な解釈についてたくさん
の詩を取りあげながらわかりやすく解説してくれる。
最後に感心した部分をひとつ紹介。
P59に紹介された詩の一節「崩れていく骨が背後を覆うのに 私はなお違うことを
考えつめる」の意味がわからず、筆者の解釈を読んで納得した。
「・・つまり、生きるとは背後に他者が次々と骨になっていって、その骨の山が
崩れていく、その音を聞くことなのだということです。」