たまたま入手しました。
実はこの本、三菱ケミカルホールディングス傘下の経営補佐職以上の方にはもれなく
配布されているとの噂を聞いているのですが、なぜかレビューがない。なので、書きます。
著者は三菱ケミカルホールディングスの現社長の方です。よく、中小企業の社長さんが
本を書いて出したりしていますが、この本の場合は総勢5万人を越える、世界を代表する
規模の総合化学メーカーの社長さん(このレビューを書いている段階で)が書かれている
わけで、そういう意味ではかなり異色の書です。
内容的には、最新科学と化学の話題、といった内容が続きます。これは、他のビジネス本や
サイエンス入門書にあるような内容で、その手の本を通読されている方には、少々物足りない
内容に映るかも知れません。
(ちなみに著者は博士号を持つ、科学者としての経歴もありますので、内容的には正確無比と
思われます)
しかし、肝は冒頭と巻末に書かれている事にあります。
それらを読んでどう思うか。果たして、うまく行くのか。個人的には、うまく行ってほしい、
そう願っています。けれども、世にはびこる悪徳と、破壊と破滅への誘惑は途切れることは
なく、むしろ拡大を続けています。また、それらは巷にあふれる企「業」によって再生産が
盛んです。それらと最終的には衝突せざるを得ないと考えるしかない要素を含んだ、哲学が
語られています。
個人的には、こういった考えが財界人、それも超大企業の代表である著者から出てきたことに
驚いています。世界的な企業である三菱ケミカルホールディングスグループという巨大組織が
果たして、この理念に沿ってこれから成長を遂げられるか。これは一つの壮大な賭けでもあると
思います。
文章は平易で読みやすく、才筆ですから、読みづらい、とか、わかりにくい、ということは
ないです。
ただ、気になるのは、世の人すべてが著者のように強くもなく、また賢くもなく、そして
実行力があるわけではないので、読まれる方によっては、そのあたりに抵抗を覚えるかも
しれません。
とにかく、もっともっと、多くの人に読んでもらいたい本です。