角川文庫だけでなく、挿絵があった富士見ミステリー文庫も通しての"GOSICK"の完全最新刊です。
かつてのソヴュール王国の王妃、ココ=ローズ。王国の一輪の花として国民の熱狂的な支持のもとにあった彼女が10年前に何者かの手によって殺害された。
この前代未聞の事件を解決するために、ヴィクトリカは彼女の父であるブロワ侯爵に招集されるが・・・
今巻でヴィクトリカが挑む事件は今までで最もインパクトが大きく、陰謀が絡んだものとなっています。ブロワ侯爵率いるオカルト省や科学アカデミーの思惑、今まであまり描写されることがなかったコルデリア・ギャロの過去とその心理など。そして、物語の後半では驚くべき人物の、悪意が露呈します。
この巻では、ヴィクトリカと一弥の行き先を強烈に示唆するとともに、二人の絆が強まっていくことが再確認できる場面が見られます。しかし、この先に巨大な事件が待ち受けるであろうことも暗示しており、物語はクライマックスへと一気に加速していく気配を見せています。
数年ぶりの書き下ろしである今巻は、とても期待していた半面、世界観やキャラクターの描写にブレが出るのではと少し心配していました。しかし、この考えは杞憂であり、戦間期というきな臭いながらも独特の魅力を持ったヨーロッパの世界観と確立した個性を持ったキャラクターが桜庭先生の表現力豊かな腕前によって描かれています。
4月より刊行される角川ビーンズ文庫版の"GOSICK"には挿絵が付くようですが、歓喜しているのは私だけは無いと思います。文章だけでも一つの作品として十分に面白さを堪能できる本作ですが、武田日向先生の美しい挿絵が備われば一つの芸術作品として完成する、といういうのは私の言いすぎでしょうか?それほどまでに、武田先生の絵とこの"GOSICK"はマッチしており、本作が支持される理由の一つと考えています。