まるっと一冊、学園の夏休みの間の出来事に使われています。
主人公たちふたりきり(セシル先生や寮母さんはいますが)の学園で
事件が起きるかというとそうでもなく、どうやら今回のキーワードは「手紙」。
まず『第一話 仔馬のパズル』では、『GOSICKs』でヴィクトリカが
一弥の次兄に宛てた謎の回答と、新たなクイズが書かれた手紙が届きます。
同時に、一弥はアブリルに誘われた地中海でのバカンスを断り、
ヴィクトリカとふたりだけで夏を過ごすことを決めます。男前ですね〜。
『第二話 花降る亡霊』では、バカンス中のアブリルからの手紙で、
滞在している祖母の館の周囲で起こる幽霊騒ぎが伝えられます。
…花ではない貢物、その少女がもっとも喜ぶもの、どうしてもそれを届けたい…
一弥が自分とシンクロさせて考えている事で、少しは恋愛の自覚が出てきたでしょうか。
『第三話 夏から遠ざかる列車』では、学園の東屋に隠されていた手紙を、
ふたりが見つける事から始まります。誰が誰に宛てた手紙なのか?
ふたりの少女の出会いから現在までの様子が、コミカルに描かれています。
『第四話 怪人の夏』では、一弥の姉・瑠璃の手紙に書かれた「怪人」の謎に挑みます。
日本からの手紙に新たに登場してきた男性ふたりは、今後も出てくるのでしょうか。
それにしても瑠璃は、一弥に似てる所も全く違う所もあり、いいキャラクターです。
『第五話 絵から出てきた娘』と『第六話 初恋』は、特に手紙関係ないです。すみません。
第五話は村で起こった絵画盗難事件。なんだか懐かしい感じのトリックです。
グレヴィールの部下のふたり、イアンとエバンがいい味出してます。
第六話は誰の初恋かっていうとグレヴィールの…と思わせておいて、別人のです。
初恋は実らないといいますが、グレヴィール、切ないですね。
主人公ふたりの周囲の人物を描きつつ、ふたりの距離を詰めるのに成功しています。
木に登って降りられなくなった猫のようなヴィクトリカに一弥が掛ける言葉、
p181『…小さな、ご機嫌斜めの、お嬢さん。君、そんなところでいったいなにしてるのさ?』、
p182『ぼく、梯子を探してくるよ!君はそこに隠れてなさい』、
この辺りの騎士ぶる一弥と、他人には決して見せないヴィクトリカの反応が可愛い。
本編がおどろおどろしくなってきたので、この爽やかな夏休み編は貴重です。
勿論、初めて「次巻に続く」的に終わった『ベルゼブブの頭蓋』の続きも楽しみです。