この本は嘘を見抜き、共感を得つつも相手を誘導するという戦う為のコミュニケーションについて書かれた非常に現実的で実戦的な本です。
様々な価値観の人間がせめぎ合うような緊張感のある環境で生き抜かなくてはならない人、そういう環境で戦いたいと思う人に強くお薦めします。
著者はアメリカのATF(アルコール。たばこ・火器・及び爆発物調査局)の調査官、教官として活躍し、現在FBIや弁護士等に講義しる等のコンサルティング業を営んでいる人物です。
多種多様な人種と宗教が混在するアメリカで社会に敵対し嘘を吐く事に慣れた人間を相手に活躍し、その中でも抜きんでた存在となった著者は「尋問」「ボディランゲージ」の技術者として世界最高峰のレベルと言っても良いのではないでしょうか?
著者はポールエクマンといった著名な心理学者についても研究し取り入れており、この本はしぐさや表情の心理学の実戦的なマニュアル本と言えます。
嘘を見破り、相手の心理状態を見抜く手順は
1.相手の素の状態を知る
2.質問等で相手に働きかけて変化する「注目ポイント」(アタマ、カタ、ヒザ、ツマサキ、素の状態と異なるしぐさ)を見逃さない
の以上です。
他にも「へその向きが意識しているものを示している」「局部や急所を隠すしぐさの意味」「基本的な顔の表情」等が紹介されています。
具体例として紹介されている調査官も各自のポイントを中心として感覚を鍛え上げている訳であり、小手先の技術ではない事が理解出来ます。
結局は高い洞察力と人間に対する理解が必要なのであり、提案されるエクササイズも身近な人間で試したり、絵画などで観察力を高めるといった方法です。
この本では幾つかの相手に心理的効果を与えるジェスチャーも紹介せれています。
著者はジェスチャーは万国共通では無いと言っており、この本で紹介されているジェスチャー全てが日本で役に立つかは疑問です。
しかし、ピラミッドのしぐさなど自己暗示に使えそうなので試してみたいと思うものもありました。
この本を読むことで即座に他人の嘘が見抜ける様になる事が出来るかと言えば出来ないと思います。
しかしこの本に書かれている内容を知っておいて損は無いと言えるのではないでしょうか?
国際化社会においてこの様なコミュニケーション技術は必須のものであり、日本人の弱い所の一つでもあると思います。
私は特殊な宗教の環境下で企業の経営を続けていました。それは常に嘘と誘導が存在する環境であり自然と嘘を見抜く感覚が強くなったと思います。
しかし、その能力は分解して何から来ているのか?どの様に伸ばすべきものなのか?などを自分で上手く言葉に出来ない事から、この本を読みました。
この本が示すように観察力と人間理解、論理力なのでしょう。
コミュニケーション能力とは人間の総合力であり個性なので、ある程度のポイントでしか説明できない事にも非常に納得出来ました。
結局、この様な能力を向上させる一番の方法は親しい仲間とだけ付き合うのではなく厳しい競争環境に身を置く事が一番なのかも知れません。