アンコールワット遺跡群はシェムリアップ市を中心とした地域に散在している。この為、旅の玄関口として殆どの観光客はシェムリアップ国際空港を使用する事になるだろう。今現在で日本との直行便はない為、日本の旅行会社が企画するツアーでは大抵経由都市であるタイやベトナムを併せた周遊タイプの内容のツアーが多い。然るに、ガイド本もそれに随行するものが多いのが現状だ。
私はアンコールワットしか観光するつもりがなかったので、兎に角『アンコールワット』と特化表記された表題のモノが欲しく2〜3店舗の書店を回ってみたのだが、これがなかなか見つからないものである。大抵は表題通りに周辺都市との情報を折半したものが多く満足できる様な濃い内容の本はなかった。大型本に至っては可愛いイラストや、スィーツ特集などを盛り込んでおり私の求めている次元とは全く別方向であった(もっとも、本書においても甘味フルーツやカンボジア料理を包括したページが設けられており、その内容は先のモノを凌駕している。)諦めかけた最後の店舗で入手したのが本書であったが、これが正に理想的な1冊であった。
収録都市はカンボジア国内のみ、シェムリアップの他に首都プノンペンも併記されているが、これはページ的にも内容的にもオマケ程度。本質はアンコールワット遺跡群のガイドそのもの。各所在地、入場チケットの有無、交通、成り立ち、壁画の詳細な説明と歴史的背景、デバターや神々のリリーフとその世界観、など現地ガイドが説明する様な非常に濃い内容のもの、さすがは歩き方だと感嘆。また、収録遺跡群も他紙を大きく出し抜いている。現地のバイクタクシーに地図を指し、ここに行ってくれと頼んだところ「アアン!?プラッ,プラサット...ああ、あそこか。small temple観る価値ないよ」と言われる始末。現地ガイドも呆れるマニアックな遺跡までも収録してある。私はシェムリアップに7泊したがそれでも全てを観て回ることはできなかった。この膨大な情報量であるからして、私も大満足できたし、アンコールワットに特化したガイドブックをお求めの方なら是非お勧めしたいのです。
悪点と云えば、内容的にはないに等しいのだが本書の膨大な情報を集録にあたり、他紙に比べ1頁の厚みが薄い事である。東南アジア特有のスコールにより幾度と無く雨に曝され、結果破けたりゴアゴアボロボロになったりする確立が高い。せめてもの防衛策としてブックカバーなどを購入すると良いと思います。
なお、2011現在で
・バプオーンの見学入場は可能
・ニャック・ポアンの見学は可能ですが小池や祠堂への立ち入りはできません
・第三回廊の入場は可能
その他、遺跡以外の市内施設観光も入場料金などの変動で一部相違点があるので、常に最新号を意識して購入した方がいいでしょう。