原作は綾辻行人氏による同名小説。
清原紘氏による筆致が、兎にも角も秀逸。
”26年前の「ミサキ」の噂”をはじめとする
この作品を取り巻く、決して晴れ間を見ることのない重苦しい空気感。
著者の思惑とは少々外れてしまっていたかもしれないことと、
これは私の個人的な見地からによるものと承知して述べたいのは、
”恐怖”や”謎”といったそれが、ヒロインの魅力に直結しているよう強く感じたということ。
「精巧な人形に対面する際抱いてしまう、畏怖の念」は、作中においてそのまま描かれているが、
この作品におけるヒロインの姿は、まさにその表現がそぐわしいように思われた。
まるで「彼女は何者なのか」という強い探求慾に駆られつつページを追うように、
どこか退廃的、儚げで美しい恋愛作品を見ているような感覚に陥ってしまった。
ただこの作品はホラーで、人も死ぬんですけどね。
病院での、人形を抱いて現れる一見異様な姿での初登場場面
廃校舎の廊下というシチュエーションで、一人佇む姿が描かれる扉絵
”雨の中を独り 傘も差さず歩いていた彼女
降る雨に溶けてしまったかのように 僕には思えた”という詩的なフレーズ
そして人形館における主人公との対話シーン
どれも耽美的で、とても美しい描写だと個人的に感じました。