相当以前ですが、知人がシベリア鉄道の旅に出かけたのを見送ったことがあります。真夏でしたが、シベリアの大草原が脳裏に浮かんだことでした。それ以来、この鉄道の旅は、ずっと憧れを持ちながら今日まで来ています。
宮脇俊三さんがシベリア鉄道に乗ってヨーロッパへ向かう6泊7日の列車移動の旅を記した名著『シベリア鉄道9400キロ』もその夢を育むものでした。
そのような憧れをもつシベリアと戦前は南半分が日本の領土でもあったサハリンを記した本で、ガイドブックとしては類書がないこともあって貴重なものでしょう。
本書に記されている街や観光地で特に関心のあるところは、ウラジオストク、ナホトカ、ハバロフスク、イルクーツク、バイカル湖、サハリン、ユジノ・サハリンスク(豊原)、コルサコフ(大泊)などでしょうか。日本から比較的近いエリアですが、なかなか訪れることが適わない所です。
シベリア鉄道の旅について詳しく書かれている「シベリア鉄道列車案内」と「エニセイ号でモスクワへ」は、実際この鉄道を利用する人には必携のものと言っても良い内容だと高く評価します。
「宮沢賢治 サハリン紀行の足跡」も興味深い内容でした。地図にその通ったルートや日付が書かれていますが、最愛の妹トシを偲んでの旅は感傷旅行という雰囲気が伝わってきます。
ガイドブックですが、読み物としても充実した内容ですし、全頁カラー写真が掲載してありますから、利用勝手の良さは当然として、まだ見ぬシベリア、サハリンの姿を追い求めるのにも最適でしょう。知られざるサハリンの鉄道事情に関心のある向きにはおススメできる内容です。