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A3【エー・スリー】
 
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A3【エー・スリー】 [単行本(ソフトカバー)]

森 達也
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (20件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,995 通常配送無料 詳細
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A3【エー・スリー】 + 「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫)
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商品の説明

商品の説明

第33回(2011年) 講談社ノンフィクション賞受賞

内容紹介

なぜ「あの事件」から目をそむけるのか?
「何でもいいから、早く吊るせ!」。それが大半の日本人の本音なのか。真相究明なしに「事件」は葬り去られようとしている。『A』『A2』の作者が、新しい視座で「オウム事件」と「日本人」の本質に迫る!

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 536ページ
  • 出版社: 集英社インターナショナル (2010/11/26)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4797671653
  • ISBN-13: 978-4797671650
  • 発売日: 2010/11/26
  • 商品の寸法: 19 x 13.4 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (20件のカスタマーレビュー)
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 自分はかつてオウムにいたことがある。まだ半分しか読んでいないが、すでに多くのことを考えさせられた。レビューが長くなってしまうことをお断りしておく。
 サリン事件が起きて、富士の上九一色村には多くの記者が集まっていた。不法侵入などの問題で、ほとんどが道場の敷地の入り口で取材をしていた中で、ただ一人教団内を歩き回っての取材を許されたのが著者の森氏だった。それが「A」という映画に結びついていった。自分は当時、教団内で肉体労働に従事していたが、森という名前は始めて聞いた名前だった。その人物がライフワークとして、オウムを追い続けている。一方、自分はその三年後にオウムを抜け出し、現在は会社員として普通に暮らしている。
脱会後、ずっと気になっていたのはあれだけの事件でありながら、まったくといっていいほど総括されていないということだ。その場で起きたことなどは明らかになっているが、今後の日本人の教訓になるようなことは何一つ残されていない。本文に書かれている通り、いろいろな事情はあるのだろう。しかし本質的な理由はおそらく一つだ。オウムや麻原に対して「自分たちとは違う、変な人たち」ということにしておきたい。それが潜在的な意識として働いているのだ。
 しかし社会がそれを通すためには、様々な無理をしなければならない。それがオウムに関しては、どこもかしこも異例続きになる原因なのだ。森氏はそれを目撃していく過程で、日本という国が徐々に変容していることを実感する。一連のオウム事件が日本における9.11であり、中心人物の麻原彰晃がその特異点であることを。
 だが、裁判に当たって麻原の発言はほとんどない。それは精神に異常をきたしている、またはそれを装っているからだとされている。本文でも多くの人が「もともと死刑なのだから、早く終わらせてしまえばいい。」と言っているくだりがある。自分はどのみち死刑を免れないのなら、生きている間、仮に詐病であっても治療してみることに意味があるのではないか、そして仮にうまくいったなら、裁判やそのほかの手段で本人の言動から、事件にいたる道程を探るべきだ思う。制度的に無理なのかもしれないが、このまま終わってしまえば、この人物はこの世に何の教訓も残さず、悪い前例と悪法を置き去りにしていくのみだ。

 オウムは人類滅亡の予言で危機感をあおることで信者を増やした。本来は複雑であるはずの人生を功徳と悪業という善悪の二元論で、簡単に分類してしまった。そして悪人はポアしても問題ないと。
 麻原が逮捕されたのち、社会は同様にオウムへの恐怖から簡単に人間を分類した。我々は正義である。あいつらは悪人だと。そして異例であったものが日常化されていった。
 日本社会はあまりにオウムを憎んだゆえに影響を受け、その大きな似姿になろうとしているのではないか。この本は時代に対して警鐘を打ち鳴らしている。

 最後に森氏がオウムをライフワークとして観察し続けてきたことは、日本人にとって幸運なことだと付け加えたい。戦後これほど風圧の強い問題はなかっただろうと思うが、それに負けることなく公正な立場で世に問い続けることは容易なことではないと想像する。
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87 人中、75人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 「いまさらオウム?」と訝りながら書店で手に取り、読み始めたら止まらなくなった。購入して500ページ超を一気に読了した。これは間違いなくノンフィクション史上の最高傑作として名を刻まれるべき作品である。

 もとは月刊プレイボーイ誌で2005年〜2007年にかけて連載された文章がベースになっている。書籍化にあたり、著者はさらに時間をかけて取材を重ね、大幅に加筆修正をしたようだ。オウムの幹部信者や麻原の子どもたち、麻原が通った盲学校の先生や近所の人々、取り調べを担当した刑事、新聞記者、さまざまな人と場所の綿密な取材によって、もはや誰ひとりとして接触できない麻原の実像に迫る。そして「彼を悪の特異点とすることでさまざまな変質を遂げた(プロローグから抜粋)」裁判やメディア、そして日本社会の実相へと切り込んでいく。その意味で、この本は社会論でもありメディア論でもある。

 この著者は1995年の地下鉄サリン事件後に、「A」「A2」という2作のドキュメンタリー映画を制作している。「オウムを潰せ、麻原を吊せ」という公権力と民衆とメディアが一体となった怒濤の流れの中でひとり立ち止まり、オウムの施設に立ち入って撮影を励行した。なぜこのような事件が起きたのか、そもそもオウムとは何だったのか、その本質を探ろうとしたこの2作は、いまもなおドキュメンタリーの秀作として語り継がれている。この『A3』は本ではあるけれど、それらの映画の続編的な位置にあり、著者のオウム取材と考察の集大成といえるだろう。もちろん単独で読んでも消化不良は起こらない。むしろ文章の構成力、筆力の見事さによって映像の必要性を全く感じないほどだ。映画監督とも肩書きされる著者だが、この作品は作家としての力量を余すところなく見せつけたといえよう。

追記。
 この本には報道されることのなかった麻原の姿や言葉、いまや死刑囚となった幹部信者たちとの面会や書簡からあきらかになる衝撃的な事実が書かれている。裁判記録や調書、新聞記事などから浮き彫られたメディアとジャーナリスト、そして”正義”の我々民衆の姿もまた書かれている。
 かつて麻原の実兄に会い、誰も知り得なかった事実を暴露した藤原新也の名著『黄泉の犬』が、その高い評価とは裏腹にメディアに完全に黙殺された(その経緯、またその内容についても『A3』の中には書かれている)。
 この本も『黄泉の犬』同様に黙殺されるとしたら、メディアは自らその存在意義を放棄したことになる。”極悪人”麻原が種をまき、メディアと人々が知らずに増殖させてしまった日本社会の闇から目を背けてはいけない。それは結果として自覚なく、自らを闇に浸食させることになるのだから。
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By organ
◆伝言ゲームの最初へ

森達也さんは、どんな報道陣も入れなかった(入らなかった)事件直後のオウム教団施設に「すっ」と入っていき、広報部長の荒木浩(あらきひろし)を中心にドキュメンタリーを撮ってしまった人だ。

この本『A3』でも、麻原の子ども時代を知る人、高校の先生、青年時代に行き着けだったという寿司屋の主人、事件以前を知る新聞記者などに取材している。

――「げんきもん」だったこと、「痛々しい」「謙虚」「良いか悪いかはともかく一生懸命だった」「きついおやじギャグ」(と信者が言っていること)「かわいそう」――

実際に彼に会ったことがある人が語る言葉は、
実際には会ったことがない人が報道などから抱くイメージとは、ぜんぜん違う。

これは当たり前だけど忘れがちなことで、本書を読みながら、自分の思い込みや過小評価に気づくことがたくさんあった。またびっくりしたこともあった。

(例えば私は麻原の目がほとんど見えないことを、なにかで読んで知っていたけど、しっかり想像することなく過小評価していた。著者は、目が見えないということはどういうことなのかを想像しながら、そこに、事件の契機を読み込んでいる)

(また、極端に戯画化された――テレビでは、「しょーこーしょーこー」「修行するぞ修行するぞ…」は、ほとんど、怖くて笑える「ギャグ」だった――姿や、いま言った人間的な側面とはちがった、ちょっと簡単には割り切れないカリスマ性もまた語られている)

◆麻原の過去/現在

この本の中で、たぶんいちばんの衝撃は、麻原の現在の姿なんじゃないだろうか。

本書では、麻原の過去を丁寧に追われるのと平行して、
むねが悪くなるような現在が描かれている。

(もともと『月刊プレイボーイ』に連載されたものに、大幅に加筆修正が加えられたものなので、現在進行形になっている)

報道では「詐病」というふうにも伝えられているけど、読んだらとてもそうは思えないはず。
人間がこんなふうになるものなのか??? 
「壊れた」という言葉でしかいいようがない。

裁判中に、法律に守られた中で、こんなふうに変わってしまった。
「壊れた」まま放置された。
しかも、(弁護団と森さんをのぞいて)だれもそれを公におかしいという人がいなかった。

そして事件が解明されないまま、裁判が終わり、死刑が確定してしまう。

◆なぜ事件が起きたのか

そこで、著者は、獄中の元信者と手紙を交わしながら、事件の経緯をおっていく。

事件をじっさいに起こした人達と考えていくのだ。そこがすごい。
(逆に言えば、事件を起こした張本人にも、なぜ事件が起きたのかがわからない…)

信者一人ひとり、いろんな思いを抱えていること。
麻原自身も抱える迷いや揺れも見えてくる。

確実に一人ひとりの人間がやっていることなのに、事態は一人ひとりを超えて動き出す。
読みながら、もうちょっとなんとかならないのか、誰か止めてくれないのか、と何度も思う。

後半で、事件の最大の要因として語られるのは、全部を試練と解釈しなおしてしまうマハームドラーという思考についてだ。このあたりは読んでいて、とても、息が詰まった。

本書を読んでわかるのは、
オウムはまったく時代遅れの問題などではない、ということだ。

特異な、一回限りの事件ではない。
特殊な、頭がおかしい集団が起こした事件ではない。
これは、人間の集団に組み込まれたサーキットなのだ。

わたしたちは徴候を読み取って、慎重に、そこから抜け出さなければならない。
そのための貴重な、ケーススタディとして、読んだ。

エピローグの中川さんの言葉は、痛切すぎる。たまらない気分になる。
読み終わって、ため息が出た。
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