こどもニュースの時から面白いと思っていたが、意外な所からニュースのキモを突く解説に改めてうなずかされ、本書を読んでみた。一般人は別にそんなにニュースで商売する人は少ないから、ニュース情報の収集法を紹介されても役立つことは多くないかも知れないが、まあひたすら感心する。新聞8紙を定期購読、雑誌多数を読む上、Wikipediaのルール変更まで知っている。本を買う時はアマゾンのレビューも参考にするらしい。ちなみに、池上流の優れたレビューは「論理的でわかりやすい」こと。悪いレビューは「感情的で『この本はクズだ』などと書かれている」こと。そういえば、著者の新聞関係の本で中身全く触れてない単なるdisレビューの多かったような……アホなレビューの多さに著者も閉口してるんだろうか。ともあれ、これだけテレビ出て本書いても内容の質がさほど落ちないのは、このかなり時間も金もかけた情報収集にあるのではないか、と思った。
ただ、著者の情報収集術と絵を描くような対話法はとりあえず真似できても、池上彰の発想というのは、やはり真似できなそうだと思う。自分だったら「シーシェパード」の名前の由来などすーっと読み飛ばして、それがこの団体の本質を言い表している、という所には思い至らないだろうし、「あって当然」と思うから、検察審査会の解説でその存在意義まで立ち戻って考えない。「米連邦大陪審」というのも、新聞の通り一遍の解説文を読めば納得するだろう。しかし、新聞のベタ記事を読んでも疑問が次々とわき出す著者のアンテナにはちゃんと引っかかる。本書を読んで、改めて著者がニュース解説の超人であることを嫌と言うほど思い知らされた。
解説に限らないが、自分が説明する時は一方的にならないことが重要、相手へのリスペクトも持ちつつ、相手の反応を見つつ理解してもらえるように話す。というのがキモのようだ。これは多くの人に参考になると思う。