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最も参考になったカスタマーレビュー
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
民衆の偉大な創意が歴史をつくる,
By サンザンクロース (東京都内) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 99%の反乱-ウォール街占拠運動のとらえ方- (単行本(ソフトカバー))
かつてトロツキーは、新しい運動形態、新しい組織形態を作り出すのは民衆の自然発生的な行動であると述べた。1905年のペテルブルク労働者ソヴィエト、1920年のイタリア工場占拠、1930年代のアメリカ産別労組による座り込みストライキ、等々。今回のウォールストリート占拠運動は、まさにそうした民衆の偉大な創意の一つの現れであろう。この運動を開始した人々、途中から参加した人々、支援した人々の文章を編集したのがこの小冊子である。収録されているそれぞれの文章が書かれたのは、運動が最高潮にあった10月の時期である。それだけに現在進行中の運動の息吹が生き生きと伝わってくる。 公園でアンプを使うことが禁じられたために苦肉の策として生まれた「人民マイク」(演説者の発言を後の聴衆がもっと後ろにいる聴衆に復唱して伝えていく手法)が参加者の連帯感を生み出し、よりきちんと話を聞こうとする姿勢をもたらした話や、何でも全体集会で決定していくやり方が多くの困難を経つつも実際に機能していることなど、興味深いエピソードが語られている。 最初に占拠運動を開始した人々はまさかこの占拠がこれほど長く続き、これほど大きな衝撃を世界に与えるとは思ってもいなかった。だが、2008年の金融恐慌以来、いやそれ以前から続いている1%の支配者たちによる富の徹底した簒奪と不平等の未曾有の拡大以来、世界中に火薬がしだいに充満しつつあった。そうした状況下では一つの火花から大きな爆発が生じうる。 だが、そのような爆発が実際に起こるかどうかは、実際に行動に出てみるまではわからない。未来は予想不可能であり、未決定である。同じような試みが不発に終わったことの方が圧倒的に多い。だが、歴史は時に、一見無謀に見える行動から奇跡を引き起こした事例をも少なからず記録している。 1956年11月にボロ船でキューバに上陸して山奥に入った12名の若者が2年後にキューバの独裁政権を倒したように、あるいはまた、2010年12月に焼身自殺を試みたチュニジアの1人の若者の行動から中東世界を揺るがすアラブ革命が起きたように。 本書に収録されているアナキストのデビッド・グレーバーは言う。「直接民主主義、自由、連帯原則にもとづいた社会が可能なことを論理的に証明することはできない。ただ行動によってそれを示すのみだ」。 2011年9月17日、そうした行動の一つがアメリカのウォールストリートで開始された。これもまた、その他の多くの行動と同じく失敗に終わるかもしれない。だが、それが作り出した反響はけっして無駄になることはないだろう。1%の富裕者と権力者による99%の人々の搾取と収奪はもうたくさんだ、という声を消すことはもはやできない。 最後に翻訳について一言。早く出すことを優先させたためか、誤字、脱字、誤訳がけっこう目につく。とくにアナキスト系の「ブラックブロック」を「黒人連合」と訳すのはいかがなものか? というわけで★一つ減らした。
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