本作は、1999(平成11)年から2000(平成12)年にかけて制作・放送されたテレビドラマ「3年B組金八先生」第5シリーズのDVD−BOXである。すでに「学園ドラマの金字塔」として名高い「金八先生」だが、そのシリーズ最高傑作は間違いなく本作と言っていいだろう。
当時は、1997(平成9)年に「酒鬼薔薇聖斗」と称する14歳の中学生が、神戸連続児童殺傷事件を起こし、世間では「キレる10代」という言葉が急速に広がっていた時代であった。そうした中、学校や社会の中で、もがき苦しむ子供達の姿を数々の問題行動とともに描いたのが本作である。
特に兼末健次郎役を演じた風間俊介は秀逸。優等生の仮面をかぶった問題児の役を見事に演じきったと言えるだろう。かつての学校ではリーゼントにボンタンなど、いわゆる「ワル」は外見で簡単に判断できたが、時代が昭和から平成へと移り変わる中、学校現場も大きく様変わりしてきた。
しかし、子供達が抱える問題は、いつの時代も同じなのである。その問題に体当たりで挑む熱血教師の坂本金八役を演じるのが武田鉄矢。本シリーズは、名実ともに彼の代表作と言って間違いないだろう。涙を流して熱弁を振るう金八先生の姿は、子供達はもちろん、大人でさえ心を打たれるはずである。
だが近年、学校現場を取り巻く環境は一層、悲壮感を増している。繁雑になる校務、増える授業時間、モンスターペアレントの出現などにより、生徒と向き合う時間がなくなりつつある。本作を見れば、多くの教師が心の病と紙一重のところで奮闘していることが、よくわかるだろう。
ある中学校教師がよんだ歌がある。「ここもまた、戦場なるか、ひくことを、せざりしともの、過労死をきく」と。子供達のために子供達と戦っている先生に対し、我々は一体どれだけの手助けをしてきただろうか。今こそ一人ひとりが、もう一度「教育とは何か」ということを考える時であろう。