竹中氏はやたらコピーやフレーズを使いたがる人間だが、本書でもその才能はいかんなく発揮される。
冒頭から「複合連鎖危機」「ベストプラクティス」「リスクのジレンマ」「経済のインテグレーション」など、使い慣れない単語がポンポン出てきてウンザリする(氏のファンは喜ぶ?)が、そこは我慢して読み進めよう。
ようやく分かりやすいフレーズが出てくるのはp47で、今の日本政府を「子どものサッカー」にたとえている。
プロサッカーならフォーメーションが決まっていて、ボールを前に出すため空いた空間へパスを回すが、子どものサッカーは全員がボールを目指して駆け寄る。今の民主党政権がやっているのは、まさにそれ。
司令塔なき政治が災害対応を遅らせている原因だと切り捨てる。
続けて地方行政もメッタ切り。
前横浜市長の中田氏は「『横浜市の借金』といっても(中略)"膨大な借金"自体、総額いくらなのかもはっきりわからなかった」「そもそもあえて議論の対象にしてこなかった」といい、横浜市営地下鉄を例に挙げて説明している。
こうした現状を打破するのに、両氏は情報リテラシーを高めるしかないという。
「情報リテラシーの欠如」という結論は一見すると正しいが、状況を説明しているだけであり問題本質に踏み込んでいない。
「リテラシーが低いために、悪意を持った反対派のキャンペーンが力を持ってしまう」
「リテラシーが欠けていると、感性が養われていかない」
「基本的なことを理解していないというリテラシーの欠如」
などといっても、それは根本的な解決には至らない。これを問題だと論じている両氏が等しく、問題に踏み込んでいないという皮肉を込めた好例だろう。