よろずせっかちで気短な日本人にピッタリの語学学習本が出た。
私も韓国には数回行ったことがあるが、彼の地に着いた途端、
一斉に視界に飛び込んでくるハングル文字には、正直参った。
頭がクラクラするのである。昔のように少しでも漢字がまじっていれば
理解の手がかりが掴めるというものだが、allハングルではまったくお手上げである。
そんな私にも優しい神の手がさしのべられた。
なんとこの本には《1時間で看板や標識がスラスラ読める》と謳ってあるのだ。
よくある「トンデモ本」の類かと最初は疑ったが、ダメモトで買ってみた。
結論から言ってしまおう。1時間でハングルがスラスラ読めるとあるが、
これはいくぶん大げさだ。が、「スラスラ」はムリでも、「スラ」くらいはいく。
いや、私より集中力があれば「スラス」くらいは可能かもしれない。
看板に謳ってあるように、あのハングルがたしかに読めるのだ。
なぜそうなるかというと、覚え方に秘密がある。
ハングル文字の形からナスやサクランボ、マッチ箱等を連想させ、
それを数式のように組み合わせて読ませるのだ。
見た目にも幾何的なハングルを読み解くには、
古代マヤ文字を解読するような根気と熱情が求められそうだが、
この本はそうした正攻法ではなく、ショートカットであっさり目的地まで行ってしまう。
よろず多忙な現代においては、いわば駅前の立ち食いソバ屋的スピーディさを備えた本が
これなのである。文字よりも絵や写真を優先させ、最後まで飽きさせない。
この本を読んでハングルがまだ読めないと嘆く者は、他の凡百の学習本を読んでもムダだろう。
ハングルへの入門はこの一冊で足りる。