ディーバーが007を書くとどうなるか?期待して読みましたが、内容的にはごく普通のスパイ小説としか言えない。
リンカーンライムシリーズがここまで名シリーズになったのは、精密機械のような筆致、描写と稀代のストーリーメーカー、そして毎度のごとくライムに挑む魅力的な好敵手の存在が、素晴らしいシリーズにしていると思う。しかし、007自体、あまりにも有名なキャラすぎで、本を読んでも、映画で良く見たSコネリーなどの動くジェームスボンドの印象が強く、なかなか、そのイメージから抜け出せなかった。確かに、現代風007として最新式スマートフォンを自在に扱ったり、ワインや料理の描写(もともとディーバーはかなりの料理好きのよう。)などライム、ダンスシリーズとは一線を画した味付けもしているんだけれど。ディーバーが書いたスパイ小説として読めば納得いくんでしょうが、あまり期待しては、あとで後悔してしまうかもしれない。この作品に対する読み方の問題で、作品の評価は左右しそう。あまりにも個性が強いキャラクターだけに、名手ディーバーでも、007の枠を切り崩すことはできなかった。