経済力のある人とは単にお金を持っている人のことではない。例えば、宝くじにあたった人を金持ちとは呼ぶが、経済力があるとは誰も言わない。この当たり前のことが前提にないので、本書はレベルの低いものになってしまっている。
キャッチコピーとして選択されたにしても龍馬の金策に関しては別に目新しい視点ではないし、坂本龍馬については、第一にその経済力(=信用)が問われなければ意味がない。
ただ、本書は過去の龍馬研究を一応踏まえているし、手紙などを現代語訳していたり、参考文献を付記している部分は評価できる。とはいえやはり、本書の巻末にも参考文献として出ていた中公新書の『幕末維新の経済人』(坂本 藤良 )などがまず先に読まれるべきだろう。
『幕末維新の経済人』はタイトルに龍馬の名がないし(龍馬は考察対象としては最近評価されている小栗ら3人のうちのひとりだ)地味だが名著です。