秋山式中華武侠小説三年ぶりの二巻目です
冒頭の場面以外にアクションシーンに乏しかった前巻と違い一巻丸々アクションシーンで埋め尽くされてます
遂に月華が、涼狐が兵器術、徒手術の限りを尽くして大暴れする武侠物語に突入
「鉄コミュニケイション」「猫の地球儀」などでも秋山瑞人はスピード感溢れるアクションシーンで
読者をぐいぐい引き込んでくれましたが今作でもその辺りは全く衰えず
香港映画の一流どころ、例えるならドニー・ウォンかリー・リンチェイの殺陣を彷彿とさせる出来
これが読めるなら三年間「また続きを書いてくれないんじゃ」という不安に耐えた甲斐があったというものです
しかし武芸の派手さ、鮮やかさ以上に今巻は「武」に生きるしかない、「武」に執りつかれた、「武」に狂わされた
武侠の悲哀を描く事に主軸が置かれています。
「鉄コミュニケイション」のアンジェラや「猫の地球儀」の焔を苦しめぬいた「殺すか殺されるか」の世界で生き続ける
武侠の孤独や絶望が延々と描かれ続けます。達人・英雄と持て囃される裏側で恐怖し、逃亡し、小便を漏らす
武侠の惨めさが徹底的に描き出されます。このあたり秋山瑞人は本当に容赦がない作家です。
読者に「武」の裏も表も突き付ける今巻、大いに堪能させていただきました