眞鍋組と藤堂組の抗争の最終巻。シリアスとコミカルの混ざり具合もちょうどよく、伏線を回収して最後まできちんと書きあげた作品。
氷川先生が天然を通り越してキワモノか妖精さんの世界へ行っちゃうんじゃないかと、心配しながら読んでいたこともあるんだけれど、なんとか境界線のこちら側に留まって、今回は殴りこみにも参加して楽しかった。ほんとうの土壇場では誰よりも無鉄砲で誰よりも男前かも。
どの要素も微妙なバランスで成り立っている世界なので、ほんの少しあんばいを間違うと収拾がつかなくなるかもしれない。でもバランスは崩れなかった。崩れないまま進めば、それはもう樹生さんにしか書けない姉さん女房コミカルヤクザもの分野の開拓になるかも。サメ、リキ、ショウ、京介、祐に加えて、桐嶋や藤堂とか、脇に出てくるキャラも面白い。
奈良さんのイラストがすごいのは、内容にあわせて表紙のタッチが変わっていることだ。奈良さんの作風の変化の反映ということもあるだろうけれど、本の内容にあわせて、今回のはシリアスでコミカルに仕上がっている。読み終わってから表紙を見ると思わず笑ってしまうだろう。文中のイラストの最後の一枚は、ちょっとどきどきするような幸せな場面だった。