その後、二つの文明は衝突し、結果、漢民族支配の龍型・中華文明が覇権を握ることになった。そして太陽の文明は滅び、一部は少数民族と日本民族へと受け継がれ生き残る。
著者は、「環境考古学」という分野を日本で初めて確立した。現在手がけている「長江文明の探求」プロジェクトを通して、「長江文明の担い手は苗族をはじめとする少数民族だった」ことを発見。その成果を本書で発表している。
内容、〇龍と王権〇南北構造のルーツ〇なぜ日本人は雲南省に共感するのか〇稲作漁撈文明の系譜――日本文明の源流を問う〇覇権主義から環境主義へ、など。
南北文明の壮大な興亡の歴史を読み解きながら、日本と中国の古代史に貴重な1ページを加える一冊。
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27 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
現代日本人に忠告を与える警世の一冊,
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レビュー対象商品: 龍の文明・太陽の文明 (PHP新書) (新書)
日本文明の根源を、中国江南地方に始まる稲作農耕文明と定義付け、現代における能天気な日本人に忠告を与える警世の一冊である。中原の牧畜畑作農耕は、森林破壊を伴い、砂漠化を進めることになる。それに対する長江沿岸地方は、自然と共生出来、循環型文明である。古代中国においては、牧畜畑作は鹿や猪からヒントを得た龍をシンボルとし、江南地方は太陽の恵みを意味する鳳凰をシンボルとしたと、著者は述べる。 そして、古代より領土拡大を目指す龍の文明が、共生循環型文明を侵略する構図を描く。最新の遺跡発掘成果や、著者得意分野の花粉分析から、これらの結果を導き出し説得力に富む。 中国近世の清時代の森林消滅が、漢民族の周辺地域への拡散の原因と捉える。それに押し出されるよう!にして、稲作を携えた江南民族は、あるグループは西南へ進み苗族となったり、あるグループは東に進み倭国を造ったりしたとする。 最後に著者は、牧畜畑作文明の必然的覇権主義的要素のあることを説き、水資源を大切にする共生循環型文明が、骨までしゃぶりつくされないように警告を発している。
6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
鵜呑みにはしない方が良い,
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レビュー対象商品: 龍の文明・太陽の文明 (PHP新書) (新書)
著者は苗族を日本のルーツだと説いて風習の類似を挙げていて、それは誠に頷けるし、稲の遺伝子的には南方が起源なのは間違いないと思われる。ただ苗族は元は北方の民族で遊牧民との戦いで南下したとされるので、七千年前の鳥を祀るルーツには疑問を感じるし、農耕であげた三星堆も考古学的には龍を祀ったとされる現在のチベット族の祖とされる羌族の文明だという説がある。チベットは遺伝子的な観点からチベットに住んでいる種族の祖先が日本に関わりがあるようにみられるし、この二族は争いながらも、雨乞いなどお互いの風習を吸収していった痕跡が見られるので、風習や稲の遺伝子から苗族だけで人種的に同じと説くのは少し早計に思われる。また、商王朝も鳥系を祀り、龍を祀った羌族が迫害された歴史があるので、龍=覇権、鳥=平和というのは著者の憶測にも感じる。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ミャオ族と日本の関係,
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レビュー対象商品: 龍の文明・太陽の文明 (PHP新書) (新書)
黄河文明と並立する文明として長江文明を提唱する著者によると、中国・長江中流域にはすでに6千年前に稲作と漁労を基盤にした都市文明が誕生していた。当時の人々は、春秋戦国時代の長江中流域に築かれた楚王朝の遺跡から、太陽を抱く鳳凰の刺繍が発見されたように、太陽と鳥を崇拝していたという。そして最古の都市型遺跡である城頭山遺跡から大量にみつかったフウの木の花粉と、現在でもフウの木を聖なる木として崇拝し、太陽や鳥を表象するミャオ族の文化から、彼らが長江文明を担っていた人々の子孫だと推測する。ところで、民俗学的手法で日本文化のルーツを追う萩原秀三郎も、現在の中国南部に住む稲作少数民族のうち、ジャポニカ種を重点的に栽培し刺青をしないミャオ族の文化に、日本との共通点が多いことを指摘している。「史記」に記された「三苗」と呼ばれる集団がミャオ族の祖先と推定されているのだが、萩原は、三苗の伝統を引き継いだ楚の人々による、ジャポニカ種の稲作を基盤にした文化が、山東半島・朝鮮半島西部を経由して日本列島へもたらされたと推測している。 これらの本を読んで、私自身もミャオ族を始めとする中国南部の稲作少数民族と、日本との関係にとても興味を持つようになりました。
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