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龍のかぎ爪 康生(下) (岩波現代文庫)
 
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龍のかぎ爪 康生(下) (岩波現代文庫) [文庫]

ジョン・バイロン , ロバート・パック , 田畑 暁生
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商品の説明

内容紹介

数十年にわたって毛沢東のために「汚れ仕事」を務めた、中国共産主義の暗黒面を象徴する「悪の天才」康生(1898-1975)。彼は上海で暗殺団を率い、延安で粛清工作に携わり、文化大革命の采配をふるい、多くの人々の処刑、投獄、拷問を取りしきった。今日まで残る「抑圧と管理のシステム」の創設者の肖像を未公刊資料を基に描き出す。岩波現代文庫オリジナル版。(解説=田畑光永)(全2冊)

内容(「BOOK」データベースより)

中国に今も残る暴力の慌源「抑圧と管理のシステム」を創設した康生の評伝。下巻では新中国建国後、中ソ関係にひびを入れ、文化大革命の後見人となってその采配をふるい、古参の幹部を陥れていくさまを描く。過去の記録を探し出し、多くの人々に嘘の自白を強要して、投獄、拷問、処刑を取りしきるかたわら、京劇や書画、文物を愛好した康生の物語は、現代中国の内部で働く独特のメカニズムを明るみに出す。

登録情報

  • 文庫: 368ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2011/12/17)
  • ISBN-10: 4006032366
  • ISBN-13: 978-4006032364
  • 発売日: 2011/12/17
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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ジョン・バイロン/ロバート・パック(田畑暁生訳)
『龍のかぎ爪 康生(上・下)』(2011/1992原著)を読む。
魔力のある本である。

中国現代史の暗黒面を
毛沢東の背後で一手に引き受けた感のある男、それが康生だ。
1975年、77歳で死去したとき、
毛沢東、周恩来に次ぎ中国共産党序列三位、副主席であった。
その名は意外なほど知られていない。

康生は権力を手に入れるために謀略の限りを尽くす。
事実捏造、自白強要、拷問、処刑、裏切り、略奪。
すべてモスクワ仕込みである。
農民、軍人出身の政治家が多数を占める中国共産党で
康生は知的で洒落者で芸術を愛する高級官僚であった。
書と画の腕前も知られている。
いまでもすべての謎が解明しきれていない文化大革命の、
最初の火付け役を背後であやつったのも康生である。

もし彼が病に冒されず、
毛主席の死後、最高権力者の座を手に入れていたとしたら……?
歴史ではタブーの「もし」を僕は考える。
おそらく中国、日本、東アジア、そして世界は
いまの構造、パワーバランスとは異なるものになっていたろう。
田畑光永(現代中国研究者)が解説の最後で
現代の中国共産党についてこう書いている。

   党内における権力の不透明性、
   党外の反権力に対する躊躇なしの実力行使、
   いずれも康生の育てた土壌である。

                   (p.302)

死後5年で党籍剥奪、反革命集団の主犯。
現代中国の権力者たちは康生を遠い過去の遺物にしようとしている。
しかし「民権」に関する限り、
中国の暗黒面は変わっていないと田畑光永は指摘する。

本書は訳者・田畑暁生が大学院生のとき
出版のあてもないまま翻訳した原稿が元になっている。
それからおよそ20年後、
岩波書店編集部・林建朗が出版を実現した。
原著者二人とも連絡を密にして日本語版に仕上げた労作である。
文献一覧、書誌、人物注解、康生年譜、
事項・人名索引がきわめて充実している。
中国現代史の理解を深めるために必読の書である。

原題は、

   THE CLAWS OF THE DRAGON
   Kang Sheng, the Evil Genius behind Mao
   and His Legacy of Terror in People's China, 1992
   by John Byron and Robert Pack

Dragonは毛沢東であり、
Claws=かぎ爪は毛の汚れ役を引き受けた康生である。
「康生、毛の影にいた悪の天才、人民中国における恐怖の伝説」。
副題が内容を簡潔に要約している。
本書は僕が信頼している書評家のひとり、
坪内祐三のコラム「文庫本を狙え!」(『週刊文春』連載)で知った。

(文中敬称略)
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