内容紹介
”誰かが一回過去にやらなくてはならなかった。今こうしたものが出てきたのは、日本が苦境に立っているということと関係があると思う。素晴らしい企画だ。” 作曲家 諸井誠
”貴重な遺産は数限りないが、そうした中から振り返るべき意味と価値、魅力と存在感をもつものが順次、CDリリースされていくことになった───” 評論家 諸石幸生
日本のミュージック・コンクレート創始者!音響芸術と日本文化の融合への原点がここにある
ある時は、あの壮大かつ実験的な音楽「涅槃交響曲」の作者として、またある時は「題名のない音楽会」の司会者として、他、様々な才能を発揮した黛敏郎。おのおのの聴き手の年齢によっても、頭に浮かぶ姿が微妙に違うのではないでしょうか。そんな黛の作品、映画音楽から吹奏楽、電子音楽まで本当に幅広いジャンルに渡っていますが、ここに選ばれた4つの作品で、それらを万遍なく体現できることでしょう。極めて考え抜かれた十二音音列による厳格な音を放つのは、予想もつかないような楽器群であり、電気的な音と、アコースティックな音が交錯する不可解な世界は、小宇宙そのものです。「オーケストラのための呪」は、まさに映画音楽。「プリペアド・ピアノと弦楽のための小品」は詩的な感情こそあれど、音としてはとてもシリアスなもの。そして「カンパノロジー」は、後の「涅槃交響楽」を予感させる、梵鐘の音を使った気も遠くなるような音響、録音技術(ミュージック・コンクレート)への挑戦です。今作では、日本の電子音楽批評の第一人者である川崎弘二氏に解説を執筆を依頼。曲に対する詳細なアナリーゼを含めた資料価値のみならず、大変興味深い一つの読み物としても成立する素晴らしい解説です。
《NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ》は、戦後の日本音楽シーンを代表する邦人作曲家に焦点をあてたCDシリーズです。収録音源は全て、NHKラジオ番組「現代の音楽」で過去放送された番組のマスターテープから編集・リマスタリングを行い、マスターの再現性においてきわめて評価の高いHQCD(Hi Quality CD)でリリースします。NHKの協力の元、希少価値の極めて高い録音のアーカイブ化を実現しました。代表作の初演や未発売作品のライブ録音を中心に収録。日本人の創りだした音楽が、作曲当時の時代の空気とともに今ここに甦ります。
アーティストについて
1.七人の奏者によるミクロコスモス(1957)〈初演〉
北村維章(クラヴィオリン)/伊部晴美(エレクトリック・ギター)/小野顕(ミュージカル・ソー)/外山雄三(ピアノ)/小宅勇輔, 小林美隆, 近衛秀健(打楽器)/岩城宏之(指揮)
録音:1957年3月28日 第一生命ホール 放送:1957年4月7日 ※モノラル録音
2.作品を語る
鼎談: 諸井誠、矢代秋雄、森正
談話: 黛敏郎
3.オーケストラのための「呪」(1967)〈初演〉
NHK交響楽団/森正(指揮)
録音: 1967年11月29日 東京文化会館
4.プリペアド・ピアノと弦楽のための小品 (1957)
坂本玉明, 竹内智子(ヴァイオリン)/奥邦夫(ヴィオラ)/藤本英雄(チェロ)/本庄玲子(ピアノ)/岩城宏之(指揮)
録音:1957年10月24日 第一生命ホール
5.ミュージック・コンクレートによる「カンパノロジー」(1959) 〈放送初演〉
NHK電子音楽スタジオ