少年少女のひと夏の交流を描いた物語に叙述トリックを
仕掛けることで、驚愕の真相を浮かび上がらせる本作。
探偵役による「解決篇」がないため、読者は作中で
何が起こっていたかを自ら推理しなければなりません。
以上から、本作は乾くるみ
『イニシエーション・ラブ』と同趣向の作品といえると思います。
本作では、ある名家が物語の中心となっていますが、複雑な姻戚関係や愛人の存在などにより、
錯綜した人間模様が描き出されるだけでなく、同じ属性を付与した人物が巧妙に配されています。
そうした、読者を誤誘導する登場人物(レッド・へリング)が多すぎるといった
批判もいくつか目にしましたが、個人的には、充分許容範囲だと感じました。
厳重にミスディレクションしておかないと、せっかくの
サプライズが、台無しになるかもしれませんもんね。
▽付記
何はともあれ、タイトル「黒百合」の真意には口がアングリでした。