黒田官兵衛は豊臣秀吉の側近として仕え調略や他大名との交渉等に尽力した人物です。
官兵衛の謀略家としての緻密な戦略や秀吉を始めとした主要人物との交流が読み易い文体で描かれています。
官兵衛のキリシタンとしての側面や清廉な人物像については史料をよく研究された(であろう)上で描かれているように感じました。
圧巻なのは関ヶ原の戦に嫡男の長政を送り込むことで家康の目を誤魔化し、隠居の身でありながら自ら私財を擲って九州を席巻していく場面です。
秀吉から危険視されたことで自分が「補佐役」としてだけではなく、「天下人としての可能性があるのではないか」と気付き、その芽を育みつつ、機が熟したと見るや最後の最後で天下取りに挑む姿には心踊らされました。
しかし、長政の調略で小早川秀秋が家康側に付き一日で勝敗が決したと知るや、未練たらしく引き摺ること無くきっぱりと身を引く姿もまた潔い。
本書の流れから如水が長政に言い放ったと伝えられる有名な台詞「お前の左手は何をしていたのだ」が、より一層迫力が増すのが実感できる作品です。