この作品は「獏屋鶴亀放浪ノ譚」と対になった作品である。
単品で読んでも支障はないが、出来れば「獏屋鶴亀放浪ノ譚」に
目を通された方が、たびたび出る「店長代理」という言葉や、
後半の話の意味が分かりやすくなると思われる。
まじりあってしまって自分が人か獏かわからない少年、多門。
そして彼が届けられた「ばくや」のメンバーも非常に個性的で
強烈。
この世界観が面白い。
少しずつ心を開いていく多門に対して、彼を利用しようとする
存在、気に入らない存在などが入れ乱れてまさに波瀾万丈の展開。
店長代理のこふじがなかなかにかわいくて、多門のために店長代理と
して頑張りを発揮するシーンは「やった」と思った。
親からも不要扱いされた多門が、どうやって存在意義を見つけ
出していくのか、これはそんなお話である。
そしてその親もただ邪魔者扱いしたわけではない。
200ページ以降、父親が店長に言った言葉が、いつか多門に伝わる
ことを信じている。
もう、彼は自分で答えを見つけたかもしれないが。