完璧なまでに計算された筋、そして多くの追随者を生んだ異様で独特な雰囲気の世界、これらを描いたポオはしかし、実生活では、極度の飲酒癖、虚言癖、性的不能、分裂症、そのうえ作品は評価されず、死ぬ直前に“God help my poor soul!!!”と叫ぶなど、あまりにも恵まれない一生を過ごしたのであった。だがそのような狂気の中でこそ彼は異常なまでに研ぎ澄まされた美しくも怪奇的な作品、詩人、批評家ポール・ヴァレリーにして「決して忘れることの出来ぬ数学的阿片」と言わしめた珠玉の作品を生み出せたのかもしれない。まさに素晴らしい文学は天才か、狂人によって生み出されるものなのである。