世界の映画を志す人たちに大きな影響を与えた日本映画、そのNO1の作品は「七人の侍」だろう。信じられないことに、当時日本の批評家からは、大きな評価が得られなかったという。大衆からは受け入れられながら、娯楽作品ということで、それらの人たちの評価はそれ程でもなかったということである。現代であれば、インターネットが発達し、そうした一般大衆の声が大きく取り上げられたろうにと思う。
その作品が作られるまでの苦労談や、それぞれの場面に散りばめられた細かな配慮や伏線など、もう一度映画を見て確かめなければという内容が盛り沢山に記載されている。映画ファンには必読の本ではないだろうか。
それにしても、黒澤監督のこの映画に賭ける気持の強さを凄みさえ感じた。映画を撮る前の準備そすごさ。七人の侍の人物像を作り上げるためのメモや、村の戸籍簿のようなメモなど、信じられない思いである。
ロシア文学に対する憧憬の深さは知っていたが、個々に指摘されると、実際驚き以外の何物でもない。絵コンテや音楽、カメラ等への関わり合いも含めて、黒澤監督の偉大さを改めて感じた。