オリヴィエ(ケント・スミス)とアリス(ジェーン・ランドルフ)のリード夫妻には、
エイミー(アン・カーター)という幼い一人娘がいる。エイミーは、人一倍、感
受性の強い子どもで、友達もおらず、一人空想の世界に浸り、小学校の
同級生たちからは変わり者扱いされていた。そんなエイミーを心配する両
親だったが、ついに、エイミーは、友だちが出来たと言い出す。しかし、そ
の友だちは、事故死したオリヴィエの前妻、イレーナ(シモーヌ・シモン)の
ことだった…。
RKO映画の編集者から、そのキャリアをスタートさせたロバート・ワイズの
監督デビュー作(ただし、クレジット上は、途中降板のゲンター・フリッチと
の共同監督)。RKOの伝説のホラー作品プロデューサー、ヴァル・リュート
ンの指揮下作られたファンタジー・ホラーの秀作だ。『
キャット・ピープル《IVC BEST SELECTION》 [DVD]』
の続編ながら、独立した話ということもあり、リュートンは、当初、『少女と
友だち』という題名での公開を考えていたとのこと。
信じられないほど少ない予算と限られたスケジュールで製作されたRKO
のB級ホラーの強みは、そのマイナス点を逆手に利用した点。(セットの粗
を隠すための)陰影豊かな照明による夢魔的雰囲気の醸成、(セットを最大
限かつ経済的に使った)キャメラワーク、(特殊撮影を必要としないよう)見せ
ない演出やリアクション…等々。まさにリュートンの試行錯誤から生まれた
RKOホラーならではの鉄則だ。そのリュートンの薫陶を受け、ワイズ監督は、
少女の孤独な心象風景を繊細で美しい叙情味で描いてみせた。怪しい陰
に覆われた邸での老婆との密会、もやの中から現れたイレーナとの出会い、
雪降る中、小道を行くエイミー…暗い童話のような印象的で美しいショット
の数々に溢れた逸品だ。
本DVDは、日本でRKO作品の権利を持つIVCの正規廉価盤。ただし、米国
で権利を持ち、35mm原版の管理をしているワーナーのマスターではなく、
World Wide Filmsというヴィデオ業者のマスターを使用したもの。残念なが
ら、米ワーナー盤に比べると、白黒諧調に乏しく、全体的に白っぽい画質(大
きなキズなどはないものの)。権利的、コスト的に、米ワーナーのマスターに
アクセスすることが難しいのだろうが、最良のマスターを入手するだけの努
力をして欲しかったところだ。