1340年代半ばに内陸アジアで発生した黒死病は一方が中国へ、そしてもう一方がクリミヤからジェノヴァのガレー船によりシチリア島に上陸して瞬く間にヨーロッパ中に伝播し死亡率は約33%と言われるが地域によっては40〜60%の死亡率に達したとさえ言われ、これをしのぐほどの死と破壊と苦しみを人類にもたらしたのは第二次世界大戦だけとも、また地理的な広がり、予測の難しさ、犠牲の規模の点で核戦争にも劣らない中世の人々を恐怖のどん底に陥れた黒死病の記録です。この本ではペストに襲われた各地域の人々の書簡、年代記、回想録から当時の黒死病に襲われた世界を描くと共に生存者の声と体験を通じてペストの恐ろしさをリアルに伝えると共に中世の人々が現代の私達と同じように変わらない豊かな感情を持ち、この恐ろしい厄病に対し嘆き悲しみむ人々や本能をむき出しにする人々がいる一方で無視の精神で勇敢に自分の義務を果たそうする人々がいたことは見逃すことはできないでしょう。中世のペストは数年かけて人類を恐怖のどん底に落としいれたが、交通機関が発達した現代では1日あれば世界中蔓延することを思うと恐ろしくなります。
この本を読まれる方はこれが中世のことではなく、現代でも起こりうること、そしてペストをエボラ熱やマールブルグ熱やSARS,鳥インフルエンザに置き換えて読むのがいいかもしれません。中世のペストも前期のウイルスもある日突然何の前ぶれもなくやってきて世界中の人々を恐怖に陥れるのですから・・・・