ブラック営業術というタイトルだが、内容はいたってまともで、悪の要素は感じられなかった。
しいていえば、交渉の際、いきなり難しい条件をだすのではなく、最初は好条件だけを提示し、悪条件に対してのんでくれるとうれしいなぁと言っておき、その際、相手に「検討しましょう」と言わせておいて、最後に相手がすべて段取りを整えて後へは引けなくなった時点で、「合意してくれましたよね」といって、悪条件をのませるといった手法が、新堂の金融業小説の片鱗をみせたといえるが、それ以外は、自分のキャリアビジョンをしっかりもつこと、部下の育て方、お客様に対して、自分そのものをブランド化するといった内容で、ビジネス書や自己啓発書で扱われる内容とトピックとしては特にかわらない。
しかし、とはいうものの、すごい新堂カラーが出ている。この人は、そういったことを一流企業のトレーニングやMBA等ではなく、金融業、エンターテイメント小説、そして芸能プロダクションにいたるまで、ほとんど自力で学んできたので、語り口に自信があふれているのと、他人のベスト・プラクティスではなく、自分の例(や自分の小説の例)を使っているところがおもしろい。
個人的に、ユニークだなと思ったのが、人の育て方で、ライバル心を与えて競争させるというもの。これは、フォーマルな組織育成のテキストでは、なかなか語られることのないものだ。おそらく「相手を負かす」というパッションが、かならずしも、組織の力を伸ばすというベクトルと合致しない危険性があるからだと思うが、いいように使えば、個人の能力を伸ばすための大きな原動力になることに間違いない。
あと、力強い言葉だなとおもったのが、「夢の前に100の扉が待ち構えているならば、その100の扉を一つずつあけていくだけだ」というもの。「ユダヤ人大富豪の教え」にも書かれていたが、夢がたんなるボヤーとしたものではなく、夢を現実にしていく努力をすれば、必ず実現できるというもの。
最後に、新堂という人、こんだけ芸能裏社会の小説を書いて、今のプロダクションの女の子たちにどう思われているのだろう?実はかなりこわがられているんではなかろうか。。